2002年1月14日

球団存続騒動の暗雲をバットで振り払う

ダイエー小久保裕紀内野手(30)が「球団存続騒動」で揺れるチームの暗雲をバットで振り払う。鹿児島・奄美大島で自主トレ中の主砲は13日、「(昨年の)観客動員数300万は営業の努力。今年は僕らがファンにいいプレーを見てもらって(球団に)恩返しする番だ」と力を込めた。自らのバットで観客動員増を図る決意を口にした。

 そのため、目標も高く設定した。「松中がいるから僕の数字(自己最多44本)も伸びた。お互い負けないようにチームを主軸で引っ張る意識はある。今年は本塁打王のタイトルが欲しい」と7年ぶりのキング返り咲きを宣言。さらに昨年、近鉄ローズが王監督の持つ55本塁打に並んだことに「(新記録樹立の)チャンスが残った。監督の(55本を破り)記録を破れるようチャレンジしていく。50本という数字は決して無理な数字ではない」と言い切った。

 週明けの15日には、ダイエー本社が主力4銀行に「新再建3カ年計画」の原案を提出する見込み。そんな中、選手会長が選手を代表して今季に対する決意を新たにした。

2002年4月9日

ダイエー小久保200号

今年のダイエーはひと味違う。昨年の覇者近鉄との今季初ゲーム。4点のビハインドも7回に主砲・小久保裕紀内野手(30)の通算200号本塁打で同点とし、引き分けに持ち込んだ。延長では決定打を放つことはなかったが、敗戦に傾いた試合をきっちり引き戻し、単独首位キープだ。4失点の先発ルーキー杉内も5回まで毎回三振を奪う力投。渡辺、鈴木、吉田、飯島、ペドラザのセットアッパー陣もきっちり「いてまえ打線」を封じ切った。本社は厳しいけど、今年のホークスはそう簡単に「マケ」ないよ。

 小久保のバットが敗戦からダイエーを救った。7回だ。前打者、井口の本塁打で興奮覚めやらぬ左中間スタンドに今度は小久保がたたき込んだ。近鉄関口の外角低めのスライダー。左手1本で最前列に運んだ。「展開が展開だったしこういう場面で1本打てて、本当にうれしい」。プロ9年目、記念すべき通算200号は試合を振り出しに戻す同点5号ソロとなった。

 一塁ベースを回ったところでダイエーファンの陣取る右翼席に向ってド派手にガッツポーズ。「100号は東京(ドーム)だったからね」。地元のファンと記念弾の喜びを分かち合った。この日は長女春菜ちゃん(2)の入園式。「いいプレゼントになった」と父親の一面ものぞかせた。

 ルーキー杉内の負けも帳消しにした。5日、オリックス戦を前に神戸に移動した夜のこと。夕食に杉内を誘い、投手陣を引っ張っていくよう激励した。選手会長として、新人ながら先発ローテーションの柱で奮闘する左腕にエールを送った。6回途中でKOされたものの4失点の粘投を見せた杉内を負け投手にするわけにはいかなかった。ガックリ肩を落としてかけ足でマウンドを降りる左腕を1番悔しい思いで見つめていたのは小久保だったに違いない。そんな思いが、チームリーダーのバットに乗り移った。

 もちろん、負けられない理由はほかにもある。開幕から快進撃を続けたチームだが、前日(7日)は敵地神戸で石毛オリックスに初勝利をプレゼントしてしまった。連勝街道のあとの敗戦の痛手はすぐに消さなければいけない。V奪回を掲げるチームの選手会長だけに近鉄、西武と続くこの6試合の重要性は痛いほど理解している。

 王監督も目を充血させながら「4―0からだからね。この引き分けは大きいよ」。4時間36分のドローに手応え十分の様子。3日に200号にリーチをかけてから、わずか2試合でプロ75人目となる快挙。「あくまで通過点」。95年のキング以来7年ぶりタイトル奪回を宣言する主砲が負けに等しかったゲームをきっちり引き戻してくれた。

▼通算200本塁打=小久保(ダイエー) 8日の近鉄1回戦(福岡ドーム)の7回に関口から今季5号を放って達成。プロ野球75人目。初本塁打は94年7月5日のロッテ13回戦(北九州)で園川から記録している。

2002年9月18日

1000試合出場、1000本安打

ダイエー小久保裕紀内野手(30)がオリックス25回戦(福岡ドーム)で、1000試合出場を達成した。初出場は94年4月9日、オリックス(グリーンスタジアム神戸)1回戦。1000試合出場は両リーグ合わせて382人目。

 ダイエー小久保が、アーチストらしく1000安打を本塁打で決めた。初回2死二塁。カウント1―1から西武後藤の投じた内角の変化球にバットを振り抜いた。打球は左翼席に突き刺さる先制の30号2ラン。「1000安打と30号が重なったし、この1本はうれしい」。場内に「1000安打達成」がアナウンスされると大歓声に両手を上げて応えた。

 6試合ぶりの1発は3年連続30号となり、ホークスとしては野村(62〜68)ジョーンズ(70〜73)に次いで3人目。ダイエーとなってからは球団初となる快挙。昨年より47試合遅い131試合目での30号は、連敗を4で止める強烈な先制パンチとなった。

 プロ9年目の今年は200本塁打、1000試合出場そして1000本安打、3年連続30号と記録ずくめの1年だった。「入団当初はどうしたら試合に出られるのか、レギュラーをとれるのか毎日が必死だった。だから何年後、数字がどうなっているとか想像もつかなかった」と苦しい道のりを振り返った。

 大台を突破したとはいえ、西武の主砲カブレラはこの日、54号をマーク。「54本という数字は僕には想像できない」と複雑な思いでカブレラを見守った。しかし、西武優勝の原動力となった怪物の快進撃に同じ主砲として24本差は納得いくはずはない。「優勝争いしてないシーズンがこんなに長く感じると思わなかった。やっぱり優勝しなくちゃダメ」。妥協を許さない男が、来季のV奪回へ意地を見せつけた。

▼1000本安打 ダイエー小久保裕紀内野手(30)が西武25回戦(福岡ドーム)で、近鉄先発後藤から左越えに30号2ランを放ち、1000本安打を達成した。初安打は94年4月10日、オリックス2回戦(神戸)7回に野田から記録。両リーグ合わせて211人目。

2002年12月27日

契約交渉の席でキャプテン襲名を直訴

ダイエー小久保裕紀内野手(31)が、来季の「主将」に名乗りを上げた。26日、福岡市内の球団事務所で契約交渉を行い、3000万円ダウンの2億1000万円でサイン。交渉の席についた中内オーナーに「キャプテンとしてグラウンド内でチームを引っ張っていきたい」とキャプテン就任を直訴した。王監督に了承されれば、来季から「主将」を襲名する。

 99年から主将を務めた秋山が今季引退。小久保は「秋山さんの代わりはできないかもしれないけど、そういう存在になりたい」。ひたむきに練習する秋山の後ろ姿を見てきた男が、年明けのハワイ自主トレでも例年通り秋山からもらった練習メニューで下半身を強化。言葉じゃなく、野球への取り組みでチームをけん引してきた「秋山魂」を自ら引き継ぐ。さらに今オフ、選手会長の任を松中に譲った。複数年契約問題など、グラウンド外で球団とのパイプ役となる松中の負担を少しでも軽くしてやりたいという思いも「主将」立候補へとつながった。

 この日の会見では「今季の成績には僕自身にも不満が残るし、納得できなかった」。15日から約1週間、栃木県内で「めい想トレ」も行い、自分の内面を見つめ直した。いさぎよくダウン提示を受け入れた主砲の目は、すでに来季を見据えている。「3年連続優勝を逃すとV2(の過去)が消える。来季は自己ベストを残したい。得点圏打率も4割」と「フォア・ザ・チーム」を強調。「主将」として結果を残し、V奪回へチームをけん引する。