1997年2月5日

第一子・長男を出産

ダイエー小久保裕紀内野手(25)夫人亜美さん(29)が福岡市内の病院で長男(第1子)を出産。2980グラムで、母子ともに健康。

1997年3月6日

ダイエー 小久保ら5選手の脱税関与を公表

プロ野球11球団、30人以上の選手が、名古屋市の経営コンサルタントに税申告を依頼、所得税の一部を免れたとされる問題でダイエーは5日、主力の小久保裕紀内野手(25)ら5人が関与していたと発表した。選手名が公表されたのはこれが初めて。

 公表された選手名は会見に同席した小久保のほか、ヒデカズ(渡辺秀一)投手(25)藤井将雄投手(28)斉藤貢投手(26)本間満内野手(24)。瀬戸山隆三代表(43)によると、小久保、ヒデカズはプロ1年目の94年度分、他の3選手は95年度分確定申告について、修正申告を求められ、小久保、ヒデカズは95年シーズン終了後に修正申告を終了。他の3選手もその作業を進めている。

 会見の席で小久保は「入団時に球団から顧問税理士を勧められたが、知人から、経営コンサルタントを紹介され(税金のことが)分からないまま、1年だけお願いした」と経緯を説明。「脱税しようという意思は全くなかった。ファンの方やチームメートにつまらないことで迷惑をかけたことを、深くおわびしたい」と謝罪した。球団は「税務知識がなかったとはいえ、反省すべきこと」(同代表)と、5選手に口頭で注意。申告漏れや追徴金の額などについては、言及しなかった。

1997年7月22日

野球博物館ポスターにパ・リーグの顔として起用

ダイエー小久保裕紀内野手(25)が、巨人松井とともに野球体育博物館(東京ドーム内)作製のオリジナルポスターのモデルに起用されることになった。「セの松井選手に対抗するパのスラッガーといえば、小久保選手」(同博物館)が抜てきの理由だが、小久保は「感激しています。名誉に恥じないように、今後ともチームのけん引車となるべく努力します」と感激していた。同博物館のポスターはこれが2作目で、前回は巨人長嶋監督とオリックス・イチローが登場していた。

1997年10月13日

あと1本が出ず本塁打王を逃す

小久保があとホームラン1本で2冠を逃した。ダブルヘッダーの2試合目は今季初めて1番に座りながらも、不発に終わった。「(ホームランを)打とうとすると打てないことがはっきりしました」と36本どまりを悔やんだ。既にほぼ確定していた打点王では、1打点を増やして114とし、タイトルを決め、念願の3割もキープした。「2冠はならなかったが、タイトルは自信になるし来年につなげたい」と笑顔を見せていた。

1997年11月1日

小久保裕紀ら5球団10人告発

プロ野球選手らが名古屋市の経営コンサルタントから脱税指南を受けたとされる疑惑で、今季のパ・リーグ打点王・ダイエー小久保裕紀内野手(26)らが、起訴されることが確実になった。名古屋地検特捜部が10月31日までにダイエー、ヤクルト、横浜、中日、オリックスの5球団10選手を、所得税法違反(脱税)の罪で在宅のまま起訴する方針を固めたもよう。起訴はセ・パ両リーグの東西対抗戦終了後の今月10日が有力視されている。
 
 小久保ら10人もの現役選手が、刑事責任を追及されることが確実になった。起訴対象となったのは小久保以外でも、日本シリーズの優勝に貢献したヤクルトや横浜の主力選手が含まれる。10人の内訳は横浜3人、ヤクルト二人、ダイエー二人、中日二人、オリックス一人。これらの選手は11月2日のパ・リーグ東西対抗、同9日のセ・リーグ東西対抗に出場を予定しており、国税当局と名古屋地検は両行事終了後に告発・起訴する見通しだ。

 渦中の小久保はこの日「現段階で話すことはありません。(行事参加については)球団の方針に従います」と言葉少なに語った。今年2月に今回の脱税疑惑事件が発覚した時点では、機構内の調査でセ・パ合わせて31選手が何らかの形でかかわっていることが分かった。名古屋地検特捜部と国税当局はその後、合同で捜査。8月から9月にかけては小久保らに任意で事情聴取も行い、21選手について「悪質な所得隠し」と認定した。このうち10選手を、在宅起訴する方針を固めたもようだ。この10選手は脱税額が数千万円に及ぶ高額で、悪質な手口を使ったとされる。小久保は2月の時点で記者会見を開き、謝罪。修正申告も済ませたが、脱税額があまりにも大きく、今回の起訴につながった。

 起訴必至とみられる中には、既に中日を退団した元選手も含まれている。脱税を指南した経営コンサルタント坂本幸則被告(41=所得税法違反で公判中)を別の選手に紹介するなど、坂本被告に架空の顧問料を支払ったことにして所得税の一部の支払いを免れる、脱税工作に加担した者もいる。

 名古屋国税局は起訴対象外の11選手についても、重加算税を課すなど、厳しい処分で臨む方針。日本シリーズ、プロ野球コンベンションと大きな行事は終了したばかりの球界だが、今後への影響は避けられない。またプロ野球だけではなくJリーガーと競輪選手数人についても追徴課税がなされたもよう。プロスポーツ界では過去に例を見ない多数の刑事責任追及で、深刻なオフを迎えることになる。

◆事件の概要
 今年2月に名古屋市内の経営コンサルタント坂本幸則被告(41=所得税法違反の罪で公判中)に対し、国税局が強制捜査に乗り出したのが発端。同被告が野球選手に対し脱税指南した疑いがあるとみて、捜査を進めてきた。
 その結果、93(平5)、94年のドラフト指名選手を中心に巨人、広島、近鉄を除く9球団の選手、コーチ31人が所得隠しをしていたことが発覚。そのうち脱税額が数千万円を超える10選手については「節税ではなく脱税の意識があり刑事告発が相当」と判断されたもようだ。

1997年11月19日

脱税で在宅起訴 会見に姿見せず

プロ野球選手の脱税事件で名古屋地検特捜部は18日、所得税法違反(脱税)の罪で、ダイエー小久保裕紀内野手(26)ら、セ、パ5球団の現役選手10人を在宅起訴した。名古屋国税局の告発を受けての措置。脱税額は小久保の2833万円を最高に、総額で約1億7100万円に上る。該当球団では選手に謝罪会見をさせたが、小久保は会見に姿を見せなかった。プロ野球機構側では吉国コミッショナーが「厳重戒告処分」を科したが、公判が結審した段階で開幕からのゲーム出場停止などの厳しい処分も科される。

 主役不在の謝罪会見だった。小久保、ヒデカズが起訴された、との一報を受けたダイエー球団は、午後1時から福岡ドーム内のトレーニング室で、記者会見を開いた。村上弘球団社長(60)岸谷靖治球団代表(50)が出席。「球団として指導を徹底できなかったことを深く反省しております」と陳謝したが、渦中の小久保、ヒデカズは会見場に姿を見せなかった。村上社長は「要請もあったが、この件は既に司直の手にゆだねられています。本人が話をすれば、公判に支障を来すこともある、と弁護士から指導を受けていますので趣旨をご理解していただきたい」と、非難覚悟の上での“小久保隠し”だと説明した。さる2月下旬にこの事件が発覚した時、他球団に先駆けてかかわりのあった小久保ら5選手の名前を公表し謝罪会見させる対応をしてきただけに今回の措置には疑問が残る。

 会見で、村上社長は2選手に対する処分も併せて発表した。(1)判決が下るまでの自宅謹慎(2)球団行事への参加自粛(3)来春キャンプへの自費参加(4)契約更改の保留。小久保はこの日、終日外出せず、福岡市内の自宅で起訴の事実を受け止めた。報道陣からの電話取材に対し「きょう球団から処分は言い渡されました。球団の指示に従い、謹慎します。僕個人の問題でファンや関係者の皆さんに迷惑をかけて、深く反省しています」と、率直な心境を語った。

 球団で唯一タイトル(打点王)を獲得。このオフは表舞台でスポットライトを浴びるはずだった。しかし、起訴に伴い厳しい現実が立ちはだかる。本来なら年俸アップ確実の契約更改も保留のまま。担当の瀬戸山球団本部長は「査定は当然アップ。ただ、この件が更改に影響するかどうか、現時点ではコメントできない」と、微妙な発言にとどまった。

 秋季キャンプが行われている高知で起訴の報を聞いた王監督も「今年の初めから分かっていたことだが、実際に起きて残念」と沈痛な表情。脱税額の多さから判決後には開幕からの長期出場停止の追加処分がコミッショナーから科される。来季に進退がかかる王監督にとって、主砲不在の苦しい船出を強いられることは必至の情勢となった。

 ◆脱税・起訴概要 起訴状によると10選手はそれぞれ、名古屋市内の経営コンサルタント坂本幸則被告(41=別の所得税法違反罪で公判中)と会社役員小菅誠被告(38=同)の二人と共謀。契約金を含む入団1年目の所得申告の際、坂本被告が発行した偽の領収書で架空経費を計上。3500万〜6000万円の所得を隠し、所得税約1200万〜約2800万円を免れた。

 また名古屋国税局は、起訴された10被告以外でも選手ら11人が脱税をしたと認定。名古屋地検特捜部はこの計21人のうち20人について脱税工作に関与したとして、坂本被告を所得税法違反(脱税)の罪で追起訴した。この20選手の脱税総額は約2億5000万円に達した。

 起訴された10選手の脱税額(単位万円、契約金、年俸は推定、入団翌年度の納税額で川崎、万永は1000万円未満)

 ◆起訴選手の納税額
 解説 ダイエー小久保の入団翌年度(つまり契約金が課税対象となる時)の納税額は3123万円だった。が、同じパ・リーグの他球団の1位入団投手(契約金1億4000万円、年俸1200万円)が7197万円を納税したのに比べて、極端に納税額が少ない。必要経費などの違いはあるものの、プロ入団1年目で手にした金額はそれほど違わないのに、納税額は約4000万円の差がある。ここに何らかの作為があったとみられている。
 ヤクルト宮本も1億円を超す金額を得ており、課税率(3000万円以上には50%)を加味した単純計算でも、約5000万円ほどが課されるところだが、実際納めた税金は約1900万円となっている。宮本と同期入団のセ・リーグ投手は1億1200万円と同じ年収でいながら、納税額は3472万円となっている。今回起訴された選手の納税額にはいずれも年収の割に低すぎる、という印象が付きまとう。

 ◆小久保裕紀(こくぼ・ひろき) 1971年(昭46)10月8日、和歌山出身。星林から青学大を経てダイエー入団。今季135試合、打率3割2厘、36本塁打、114打点。95年に本塁打王、今季は打点王を獲得。

1997年12月27日

脱税事件初公判 前半戦出場停止の可能性も

球界を揺るがせた脱税事件で最も脱税額が多かったダイエーの主砲、小久保裕紀内野手(26)は最悪の場合、来季前半戦の出場が不可能になる。26日、小久保ら5被告の初公判が名古屋地裁で行われ、懲役1年、罰金950万円の求刑を受けた小久保被告が、同僚への紹介料100万円を受け取っていたことが明らかになった。紹介料の授受を重く受け止めたプロ野球機構側は、当初予想された出場停止3カ月より重い処分を科す可能性を示唆した。
 小久保被告の初公判で、新たな事実が発覚した。検察側の冒頭陳述で「脱税指南業者に渡辺被告(ダイエー)を紹介した見返りに、100万円の報酬を受け取っていた」ことが明るみに出た。同被告は今回の脱税事件で起訴された10選手のうち、最も多額の約6000万円(脱税額約2833万円)の所得隠しをしていた。その上、「紹介料」まで受け取っていた。

 所得税法違反が審理されている今回の裁判では、紹介料を受け取っていたことで刑事責任を問われることはない。だが、球界首脳は道義上の責任を厳粛に受け止めた。その意識はなかったにしろ、結果的に小久保は、今回の脱税事件の片棒を担いでしまったことになる。

 吉国コミッショナーは「所得税法違反のほかに紹介料を受け取った、と検察官に指摘されたことは、道義上責められるべきであり、球界としても、このことを不問に付すわけにはいかない。起訴された10選手すべての判決が出た後、球界独自の処分を行う」との談話を発表。パ・リーグ原野会長も「実態を把握するのが先決」としながらも、「紹介料を受け取っていたとなれば、ケースによっては(より重い)処分となるでしょう」と、新たな事実発覚に戸惑いながら語った。

 10選手の刑確定後に出されるコミッショナー処分に影響が出ることは必至となった。パ・リーグの顔でもある小久保が、来季開幕から7月の球宴前後までの長期出場停止処分となる可能性が出てきた。

 処分内容については吉国コミッショナーがセ川島、パ原野両リーグ会長との三者会談で話し合ってきている。

 球界首脳の話を総合すると、これまでは小久保の出場停止期間は最悪でも3カ月間とみられていた。起訴を免れた9選手の出場停止期間は3週間。そのため、起訴された選手の最低線は1カ月間で、最も脱税額が大きい小久保でも3カ月間を超えることはないとの見方が有力だった。最長3カ月間の設定は、原則としている現場復帰に支障が出ないギリギリの線というのが、根拠だった。

 だが、事態は変わった。「紹介料」を受け取っていたことを加味して処分を下すとなれば、少なくとも前半戦丸々の出場停止を科すことになる。

 ただ、紹介料については刑事責任を問われないため、慎重な構えもある。金井コミッショナー事務局長は「紹介料を受け取っていたことで、どういう処分がいいか球界としても考えるが、当該球団に処分を決めてもらうこともある」と語った。当該球団による減俸処分となる可能性もある。だが、その場合でも小久保は罰金、出場停止期間中の年俸カットなど、減額高は概算で5000万円を超える。どちらにしても、その十字架は重い。

 ◆起訴事実認める
 26日午前、名古屋地裁で開かれた初公判では、小久保、渡辺両被告ともに起訴事実について「間違いありません」と認めた。検察側は、小久保被告、渡辺被告に別表の通り求刑して即日結審。判決は来年1月12日、同法廷で言い渡される。

 検察側は冒頭陳述で、小久保被告が渡辺被告を脱税業者に紹介した見返りに100万円の報酬を受け取っていたことを明らかにした。論告では「動機は極めて自己中心的。ファンの信頼を裏切り、坂本被告を口コミで広げた点もあり、特に強く非難されなければならない」と厳しい口調だった。

 弁護側は小久保被告の紹介料について、渡辺被告にだれに申告を頼んでいるかを聞かれて、「名古屋の坂本」と答えただけで積極的に紹介したわけではないことを強調。小久保、渡辺両被告ともに「自分の甘さがあった。許されれば野球を通じて信頼を回復したい」と心境を口にしていた。