小久保裕紀移籍に関する新聞記事
2003年11月4日(火)
ダイエー・小久保、巨人に無償トレード
プロ野球・福岡ダイエーホークスは3日、昨年までの4番で、今季けがで離脱していた小久保裕紀内野手(32)を巨人に無償でトレードすると発表した。
同日朝、福岡ドームで中内正オーナーと小久保内野手が緊急会見を行なった。会見の中で中内オーナーは、先月31日に福岡市内のホテルで行なわれたコンベンションの席上、巨人の渡辺恒雄オーナーと話し合い、急きょトレードが決まったことを明らかにした。無償で主砲を放出することについては「小久保君の有利な条件で、と思った」と説明した。
小久保内野手は「昨年からアメリカ(メジャーリーグ)も視野に入れながら(移籍を)考えていた。決まった以上、第2の野球人生のスタートとして4月までにけがを完治させることが第一」と語った。
巨人の堀内監督は3日、小久保の獲得について「三塁と中堅を補強ポイントに挙げており、一番で狙っていたのが三塁手だった。球団がスムーズに動いてくれた」と語った。ポジションが重複する江藤との兼ね合いについては「小久保君はダイエーの4番で活躍した選手だから実績は十分。(三塁のレギュラーポジションを)江藤君と競争して、奪ってほしい」と述べた。
堀内監督は秋季キャンプが始まった先月30日以降に球団から「獲得交渉が順調に進んでいることを聞かされていた」と明かしたうえで、「こんなに急に決まるとは思わなかった。ダイエーの秋季キャンプ後だと思っていた」と、やや当惑した表情も見せた。【徳丸威一郎】
▽ダイエー王監督 何で? という気持ち。4番として来季を構想していただけに、チームが崩壊すると言いたい。与えられた戦力で頑張るしかないが、無償トレードが「悪しき前例」にならなければいいと思う。
▽巨人・三山秀昭球団代表 小久保選手を巨人軍に迎えることが出来て大変うれしい。ダイエーがトレード先として巨人軍を選んでくれたことに感謝している。巨人軍としては複数年契約を考えており、小久保選手のこれまでの実績、今後に向けての期待を込めて処遇を検討したい。
▽阪神・星野前監督 いいんじゃないの。巨人も必死。今年の屈辱があるから、可能な限りのことはするよ。しかし、野手はだぶらないか?
▽阪神・岡田監督 ちらっとうわさを聞いていたが、普通では考えられないことが起きた。足が治って140試合出られるようならば、脅威になる。(毎日新聞)
小久保巨人へ無償トレードに王監督激怒
王監督、激怒!日本一のダイエーが“崩壊”の危機を迎えた。ダイエーは3日、福岡ドームで記者会見し小久保裕紀内野手(32)を無償で巨人へトレードすると発表。オーナー会議が行われた10月31日に中内正オーナー(44)が巨人・渡辺恒雄オーナー(77)に申し入れて成立したものだが、四番打者を無償という極めて異例の形で放出する電撃トレード。王貞治監督(63)は球団への怒りをあらわにするとともに、球界への悪影響を懸念した。
精神的な支柱でもあった四番打者が極めて異例な形でチームを去る。よもやの無償トレード。午前10時すぎ、緊急会見に臨んだ小久保は硬い表情のまま、中内正オーナー(44)は涙ながらに理由を説明した。
「昨年ぐらいから本人がどうしてもステップアップしたいという希望を持っていた。小久保君に有利にするため無償でする」。青学大の後輩でもある主砲を手放す無念さとともに、小久保本人が移籍を希望し、それを認めざるを得なかった“やるせなさ”がのぞいた。小久保の今季年俸はチーム最高の2億1000万円。身売り話が絶えないように球団経営はひっ迫しており、故障で1年間働けなかった選手にこれ以上の高額年俸は払えない。球団と小久保の間には手術費用をめぐるあつれきもあった。中内オーナーは小久保が巨人との契約で現状の年俸をできるだけ維持できるよう無償としたが、その背景には功労者を金銭で売ったと見られたくないとの思惑もある。そんな不可解なトレードに、王監督は黙っていられなかった。
「来季は四番で使う予定だった。大きな痛手だ」。この日から始まった秋季キャンプのため宮崎入りした指揮官は、語気を強めた。200本塁打以上している選手が何の見返りもなく他球団へ移ったことなど、これまで球界に例はない。交換要員を求めない上、代替選手を獲得する資金も要求しなければ戦力が低下するだけだ。指揮官は「疑念が残る。あしき前例になってはいけない」とまくし立てた。
ある意味、球団が選手を抱えきれず保有権を放棄したとも見られかねない無償トレード。「(球団が)保有権を持ってるのにチームから出られるというのがまかり通ってはならない」。FA制度そのものを脅かす可能性すらある。野球人の一人として球界への悪影響も懸念した言葉だった。
それだけではない。FA宣言する意向を表明した村松やメジャー移籍を希望している井口に影響を与えることも必至だ。今季、小久保に代わって四番を打った選手会長・松中は「球団にふざけるなと言いたい。この球団は勝ちたくないんでしょう。来年、連覇したいという気持ちは急激に薄れている」と不満をぶちまけ、指揮官は最後にこう言った。「井口、村松もいなくなったら先行きチームが存在しなくなる」
歓喜の日本一からわずか6日。小久保の突然の放出で、身売りどころか球団の存続自体が揺らぎ出した。(スポーツニッポン)
城島&和田 戸惑い&ショック
「小久保巨人入り」の報にダイエー・城島は戸惑いの表情を浮かべた。前日、福岡市内で行われたパレードに参加。この日午後、和田とともに空路札幌入りすると「さっき聞いたばかり。オーナーの会見では本人のため、本人が移籍を希望した、ということなので球団が理解してやったのでしょう。選手がどうこういうことはない」と慎重に言葉を選びながら話した。
城島は小久保より1年遅れてダイエーに入団。正捕手の地位を築くまで守備、打撃の両面でアドバイスを受けてきた。チームリーダーとして、連覇に欠かせない存在であることは誰よりも分かっている。それだけに「でも普通じゃないですよね。何かあるのでは…。オフのゴタゴタはいつものことですから」と球団への不信感を漏らした。
今季、和田は小久保とともにペナントレースを戦うことはなかったが「シーズン中は何度も励まされました」と精神面での師として慕っていた。「小久保さんはケガしていなくても、存在感のある人。来年いなくなるなんて考えられない」とショックを隠せなかった。(スポーツニッポン)
球界に衝撃!ダイエーが小久保を巨人に“無償放出”
日本球界に衝撃が走った。ダイエーは3日、中内正オーナー(44)が福岡ドームで記者会見し、小久保裕紀内野手(32)を巨人に無償でトレードすると発表した。主砲をタダで“放出”する前代未聞の電撃トレードは、王貞治監督(63)ですら「疑念が残る」と首を傾げる異常事態。経営危機が表面化しているダイエーだけに、衝撃とともに、さまざまな臆測が乱れ飛ぶ格好となった。
日本一ダイエーに、そして日本球界全体に衝撃が走った。生え抜きの主砲を無償で放出するという前代未聞のトレードが正式発表されたのは午前10時。小久保と並んで席についた中内オーナーは、涙ながらに異例の事態の経緯を語った。
「本人がステップアップして自分を見つめ直したいという思いが強かった。彼の野球人生、これまでの貢献を考えると…」
そう話すと約30秒、言葉を詰まらせた。「ひとつぐらい願いをかなえてあげたい」。あくまで移籍が本人の意志であることを繰り返した。
小久保はかねてから他球団への移籍を申し出ていたという。先月31日のオーナー会議で中内オーナーから巨人・渡辺オーナーに譲渡を打診。交換、金銭トレードの方法もあったが「その分の金を小久保君(の年俸)につけてほしい」。右ひざに故障を抱える小久保の契約に配慮して、無償での放出を了承した。
「決まった以上はとにかく新しいところでしっかりやりたい」という小久保。無念の涙にむせぶオーナーとは対照的に淡々と話した。順調なら来季、FA権を取得するが「環境を変えたいと思ってきた。(成績が)良ければ年俸に跳ね返るところでやりたい」と、人件費を抑えるダイエーへの不満ものぞかせた。
ただこうした釈明が事実だとしても、だからといって今回の移籍劇は到底理解しがたい。「球団の対応には疑念が残る。(無償は)だれも納得できる説明はできない」とは他ならぬ王監督だ。
1日に中内オーナーからすでに話を聞き、前夜には小久保と直接、福岡市内で話し合った。結果的に慰留できず「巨人ではよくも悪くも注目される」とアドバイスするのが精いっぱい。「保有権がありながら(本人の意思で)放出させることがまかり通ったらチームの崩壊につながる。球界の悪しき前例にならなければいいが…」。すでに来季続投が決定、この日は秋季キャンプ地の宮崎入りした王監督だが、最後までダイエーの手法に不信感はぬぐえない。
「彼の次のステップと理解してほしいし、彼がもっと活躍してくれることを見守ってほしい」
中内オーナーはファンに理解を求めたが、主砲の無償でのトレードは理解どころか、ファンに対する裏切り行為とも言える。非常識なトレードはダイエーという球団の行く末を暗示している。(サンケイスポーツ)
ダイエーが3日、小久保裕紀内野手(32)の巨人への無償トレードを発表した。中内正オーナー(44)が福岡ドームで、小久保の希望を受け入れる形でトレードを巨人・渡辺オーナーに直接申し入れたことを明かした。右ひざの故障で今季公式戦の出場はなかったとはいえ、昨年の4番の放出劇に、王監督ら日本一軍団、そして、球界に衝撃が走った。
休日の午前10時から始まった緊急会見。中内オーナーの口から信じがたい言葉が飛び出した。「小久保裕紀君をジャイアンツさんにトレードすることを、ご報告させて頂きます」隣には、ひたむきな姿勢で、弱小球団を常に優勝争いする強豪に変身させた生え抜きスターが神妙な顔で座っていた。
ダイエーの黄金時代を築き上げた男のトレード自体も衝撃的だった。しかも、交換要員も、見返りの金銭も要求しない、無償トレード。中内オーナーは会見中に人目をはばからず、泣いた。その涙が異例の事態であることを物語っていた。
突然の退団は、本人の強い申し入れで決まった。「環境を変えてやりたいというのは、ここ何日かの話ではない。オーナーとの去年の契約更改の席でそういう話はしていた」青学大の先輩である中内オーナーに、1年前から移籍の希望を伝えていたことを明かした。
チームを離れる理由のひとつには、高塚猛オーナー代行(56)との感情のもつれからくる確執もあったようだ。1993年の逆指名入団以来、チームを支え、球団の大看板だったが、そのプライドが傷つけられることも多々あったという。
99年のオフから3年間、選手会長を務め、裏方への球団の対応など、真っ向から意見をぶつけて衝突してきた。もう一枚の看板である城島とグッズの売り上げを比較され、契約更改の際に査定の判断材料にされたこともある。今年3月のオープン戦で右ひざを負傷。今季を棒に振ったが、渡米しての手術、リハビリに注いだ費用は1000万円以上にも上るが、自費での負担を強いられることにもなっていた。
球団への不信感は、順調なら来季中に獲得するFA権利を待てないところまで膨らんでいた。「選手会長として球団と交渉する中で、僕自身、聞かなくてもいい話まで聞かなくてはいけなかった。成績がよければ褒められるし、悪ければ年俸にはね返ってくる、そういう純粋なところでやりたい」この日、残した精いっぱいの反抗だった。
当初はポスティングシステムでのメジャー移籍を希望していたが、故障明けの選手に厳しい米球界の事情も考え断念。高塚オーナー代行との板挟みとなった中内オーナーも小久保の希望をかなえるのが最善と決断。「国内で一番いいところと思って、信奉して尊敬している渡辺オーナーに相談した」10月31日のオーナー会議で巨人・渡辺オーナーにトレード話を持ちかけ、気持ちをくみ取ってもらった。
99年からは4番として、広い福岡ドームにアーチを描き続けてきた背番号9。愛するホークスを不本意な形で去ることにはなったが、来季からは、自ら選んだイバラの道ともいえる、第2の野球人生で勝負をかける。
◆小久保 裕紀(こくぼ・ひろき)1971年10月8日、和歌山県生まれ。32歳。星林高から青学大を経て、93年のドラフト2位でダイエー入り。長打力のある大型内野手で99年、00年のパ・リーグ優勝に貢献した主砲。95年に本塁打王、97年に打点王に輝いた。ゴールデングラブ賞に1度、ベストナインに2度選ばれている。今年3月のオープン戦で右ひざに重傷を負って戦列を離れ、今季は治療とリハビリに専念、出場機会はなかった。右投右打、182センチ、87キロ。亜美夫人と一男一女。今季年俸は2億1000万円(推定)。(報知新聞)
小久保巨人、なぜだ! 0円放出
衝撃が球界を走った。4年ぶりの日本一に輝いたダイエーは3日、今季右ひざ重傷でシーズンを棒に振った小久保裕紀内野手(32)の巨人への「無償トレード」を発表した。かねて新天地でのプレーを希望していた意向を受けた球団が、巨人とのトレードを成立させた。球団売却問題が取りざたされる中での、入団以来ダイエーを支え続けたスラッガーの「放出」。誰も予想しない形で「巨人小久保」が誕生した。電撃的な無償トレードに、ダイエー王貞治監督(63)は、保有権の放棄は「チームの崩壊にもつながりかねない」と語った。
福岡ドーム内での、急きょの記者会見が午前10時過ぎに始まった。前日2日の優勝パレード、この日は秋季キャンプのための宮崎移動。“空白の1日”が発表のタイミングだった。
中内正オーナー(44)が涙ながらに発表した。「小久保裕紀君を巨人さんにトレードするということを発表させて頂くことになりました」。02年まで選手会長を3年間務めた、文字通り看板選手の“放出”を発表した。さらに「できるだけ小久保君の有利な条件でということで、金銭ではなく、無償で行ってもらいます」と説明した。本塁打王、打点王にも輝いた主砲に、何の代償を求めないトレードは過去に例はない。
小久保の意思が発端となり、数々の要因が重なり、この日に至った。
昨オフの契約交渉の席で、中内オーナーにメジャー挑戦の夢を打ち明けた。今年3月に右ひざ重傷で戦線離脱。リハビリで渡米すると一層、夢が膨らんだ。ポスティングシステム(入札制度)でのメジャー移籍も考えた。故障で道は厳しくなったが、球団を出る決意は変わらなかった。小久保は「選手会長をやり、僕自身聞かなくていいことも耳に入ってきた。球団との交渉もありました。そういうことをまったく抜きにして(成績が)良ければ褒めてもらい、悪ければ年俸に跳ね返る、純粋なところで(野球が)やりたかった」と心境を語った。
最近、球団には身売り問題がつきまとっていた。“雑念”は捨てたかったが、選手会長としての耳に入った。今年、手術やリハビリで渡米したが、球団が薦めた国内の病院ではなかったため、1000万円以上の医療費は自費だった。会見では「不信感はないが、経営する立場と、個人事業主としての選手の意見が交わることはない。そういうことは期待していない」と話した。小さな溝が、じわじわと積み重なった。
事態が動いたのは、福岡市内のホテルでオーナー会議が開かれた10月31日の夜。中内オーナーが巨人渡辺オーナーに、小久保の処遇について相談した。「メジャーに取られるくらいなら国内で一番いいところと思って、信望して尊敬している渡辺オーナーに相談した」。小久保の今季年俸は2億1000万円(推定)。保証できるのは巨人しかなかった。93年には小久保獲得合戦を繰り広げた両球団。「我々(球団)に出してくれる金額を、その分(小久保に)つけてほしい」という申し出も含め、渡辺オーナーは「そういうことなら」と獲得を即決した。中内オーナーにとっては青学大の後輩の無償放出は苦渋の選択だった。
小久保は「ここまで僕を育ててくれたオーナー、監督、裏方さん、チームメートに感謝しています。10年間やれたのは幸せだった。決まった以上はひざの故障はあるが、しっかりした野球をやる決意はあります」と語った。王ダイエーを支え続けたスラッガーが、衝撃的な形で福岡を去る。(日刊スポーツ)